シュークリームの歴史
シュークリームの歴史
私たち日本人が大好きなシュークリーム。いわずと知れたふんわり膨らんだシュー生地にクリームを詰めたお菓子です。日本人はシュークリームと呼びますが、本場フランスでは「シュー・ア・ラ・クレーム」と呼ばれます。「シュー」はフランス語で「キャベツ」の意味。かたちが似ていたことから、このように名付けられたといわれています。「クレーム」はフランス語でクリームを指します。
外側のいわゆるシュー皮は「パータ・シュー(シュー生地)」といい、そこにクリームを詰めたお菓子なので、日本では分かりやすく、シュークリームと呼ぶようになったのでしょう。
「シュー」を使ったお菓子やシューの製法はフランスで発展し、現在のシュークリームのかたちになりました。フランスにパータ・シュー(シュー生地)が持ち込まれたのは16世紀中頃のことです。
イタリアのメディチ家出身のカトリーヌ・ド・メディシスは、フランスの王家へ嫁ぐ際に、自国から製菓長のポプランを連れて来ました。彼が持ち込んだシューの製法は美食文化を押し進めていたフランスで広まり、改良されていきます。
その後、パータ・シューを膨らませ、そこに空けた穴にクリームを入れたお菓子が生まれ、これが現代のシュークリームのはじまりになりました。
日本では横浜がシュークリームの発信地に
日本にシュークリームを伝えたのは、サミュエル・ピエールというフランス人です。彼は幕末から横浜の外国人居留地で洋菓子店を営んでいました。当時の横浜は時代の最先端をいく場所で、さまざまな人が新しい時代のお菓子のヒントを求めて訪れました。ピエールのもとでフランス菓子の修行を積み、独立して洋菓子店を開業する人もいました。
明治の終わりになると、洋菓子は一般家庭にも広まるようになりました。明治37年に村井弦斎が書いた『食道楽』には随所にシュークリームが登場します。冷蔵設備が発達した昭和になると、クリームの入った生菓子もおやつとして気軽に食べられるようになりました。